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「あっ………あああっ!!」
 熱い飛沫が打ち付けられる感覚に、麻衣は身悶え、そして果てた。
 はぁ……はぁ……と二人分の荒い呼吸音だけが響く室内は、まだ暗い。
 先ほどまで、自分の身体の全てを支配していた目の前の男は、麻衣の肩に額を預け呼吸を整えている。
 頬を伝い流れ落ちた汗が、白い服に吸い込まれるのを見た麻衣は眉を顰めた。何度言ってもこの男は服を着たまま行為に及ぶのだ。
「もう……いいでしょ?放して」
 身体に燻った熱に気付かれぬ様、麻衣は努めて冷たい声を放つ。その声音に顔を上げた男は、麻衣の内に熱を残したまま、凄絶に笑う。
「まだ、足りないだろう?」
 問い掛けているのに、確信を得た声が耳元に響く。視線を逸らした麻衣の顎に手を掛け、わざわざ目線を合わせてから口付ける。
 そんな男の意地の悪さにも反応してしまう自分に対して、麻衣は舌打ちしたい気分になる。
 下から睨み付けてくる瞳に、男は楽しげに瞳を細め、その首筋に齧りついた。
「きゃぁっ!」
 途端に上がる甘い声に、男は一人ほくそ笑む。しっとりと汗ばんだ肌を舌でなぞり、唇を重ねる。甘く拙い舌を搦め取り、呼吸さえも奪う深い口付けに、麻衣はただただ翻弄される。
 くたりと力の抜けた身体を支えてやれば、乱れた服の間から覗く乳房が揺れる。男は、本能が示すまま、その頂きに吸い付いた。
「ひゃっ!」
 男の肩に縋り、噎び泣く麻衣を他所に、男は容赦なくその身体を攻め立てた。


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チェアに座ったまま傍らの麻衣を見上げたナルと、デスク上のPCからナルに向きなおった麻衣の視線がぴたりと合った。不意にナルはにっこりと凶悪な笑みを浮かべて立ち上がると、おもむろに羽織っていた白衣を脱ぐ。ナルが白衣の下に着ていたのは相変わらずの黒一色のシャツとスラックスだ。
「休憩するの?お茶淹れなおす?」
一転して斜め上から見下ろされる体勢になった麻衣は小首を傾げた。悔しいが身長差は昔よりも広がっている。

言葉での返事は無いままナルに急に引き寄せられて、麻衣の視界は黒シャツで埋め尽くされた。
「え?え?」
戸惑っている間にもナルの手が背中を撫で下ろし、スカート内に侵入した。もう片方の手は、器用なことにブラウス越しにブラジャーのホックを外す。
「ちょっと!」
ブラウスの中でブラジャーが浮き上がるに至ってようやく状況を把握した麻衣は、焦って押し返そうとしたがナルの腕はびくともしなかった。
唇を重ねて舌を絡められ、ショーツの中に差し入れられた手に皮膚を直接撫でられると、覚えてしまった快感がぞわりと背筋を駆け上る。
「日本みたいに蒸し暑くないし、研究所もエアコンガンガン効かせるわけじゃないから、夏はストッキングを履かなくていいのよ」と言ったのは森まどかだが、ちょっと早まったかもしれない。
後悔がちらりと脳裏を掠めたのを最後に、麻衣は抵抗を諦めた。


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「あ、おっはよ〜、ナル! 意外と早く起きたんだね」
「…………っ!」
 キッチンの奥には通風用の小さな窓がある。東向きのその窓からは、朝の日が眩しいほどに降り注いでいる。
 その曇りガラスから入る光を背に浴びて、屈託ない笑顔を見せた麻衣の姿に、一瞬息が詰まった。
「な……て格好をしてるんだ、お前は……!」
 思わず声が掠れたのは寝起きのせいだ。そう、それだけのはずだ。
「へ? 格好って?」
 僕の言葉に麻衣がこてりと首を傾げる。
 その動きに合わせるように、エプロンの肩ひもに付いたひらひらした布がふわりと揺れた。

 ——メイドさんみたいで可愛いでしょ〜。
 友達から誕生日プレゼントにもらったという白いエプロンは、割にシンプルなものを好む麻衣の常のワードローブとは違い、やけにひらひらしたフリルが付いていた。
 ポーズを気取った麻衣がくるりと回ると、布が多めの白いエプロンがふわりと広がる。
 ——でもこれだけ真っ白だと、逆に汚しそうで怖いんだけどね〜。
 そう言ってその時以来一度も見掛けたことがなかったエプロンを、いま麻衣は身に着けていた。
 そのエプロン一枚だけを。

「そのエプロン……!」
「ああ、これ? いつも使ってるやつ、さっき洗いものしてる時に派手に水跳ねして濡らしちゃったからさ。とりあえずここに置いてる替えが、これしかなかったんだよね〜」
 そう言いながらまっすぐ僕を見上げていた体の向きを変え、手にしたサラダボウルを背後にある食器棚に収めた。
 そこに見えたのはエプロン一枚の下の、麻衣の裸身……ではなく、肩紐の細い水色のキャミソールと太腿の三分の一も覆ってないような短いスカート。
 どうやら無駄にひらひらしているせいで面積が大きめのエプロンに、布地少なめの服が全部隠れてしまっていたらしい。
 それはそうだろう。
 いくら麻衣がバカだと言っても、朝っぱらからそんないかがわしい格好をするわけはない。
 少し考えればわかることだったのに、寝起きの体と理性はそんな判断すらも鈍らせ、ついでにおかしなスイッチさえも押したらしい。
 勘違いの衝撃は、普段は強固なほどのストッパーをあっさり外し去った。
 胸の奥から湧き上がる熱くて薄暗い衝動が、自制心のコントロールを失わせていた。


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 最後の一文を打ち込み、保存する。漸く完成した論文に、ナルは深い溜息を吐くと背凭れに体を預けた。
 背筋を伸ばせば、凝り固まった筋肉が悲鳴を上げる。
 ふと喉の渇きを覚えてカップを見つめるも、すでに空で。茶渋の渇き具合から、飲み干してから随分と時間が経っていることを指し示していた。
 時計の針は三時をとうに過ぎており、ナルは首を傾げる。
 常であれば、麻衣がお茶を持ってくるはずだ。それがないという事は、彼女はこの部屋にいないのだろうか。そうであるなら自分で茶の準備をしなければならない。
「面倒だな・・・・」
 嘆息するも、麻衣がいないのであれば待っていても紅茶は出てくる事はない。
 この喉の渇きは無視できる物ではなかった。
 最後に飲んでから、どれほどの時間が過ぎたのだろう。何も言わずとも自分の望むタイミングに茶を出してくれる麻衣の存在が、これ程までに当たり前になっていたとは。
 苦笑し、ナルは立ち上がった。
 その瞬間、軽い眩暈に襲われるが微動だにせずそれをやり過ごす。これは本格的に休息を必要としているようだ。
 脳裏に「ほら言わんこっちゃない」と仁王立ちの麻衣の姿が容易に想像でき、ナルは再度嘆息した。


 キッチンへ続くドアを開く。しん、と静まり返ったそこに麻衣の姿はない。
 予想出来ていたとはいえ、麻衣の姿がない事にこんなにも違和感を感じるとは思わなかった。
 しかし、彼女は一体どこへ行ったのだろう。出かけるとは聞いていないはずだ。今の今まで集中していたので、聞き逃した可能性は大きいが。
 思案しつつ、ケトルを手に取ろうとしてナルは動きを止める。微かな水音が聞こえた気がした。耳を澄ませば、やはり水音が聞こえる。
「・・・・・バスルーム?」
 首を傾げつつ、ナルは浴室へと向かった。脱衣所のドアを開ければ、先程よりもはっきりと水音が聞こえる。
「麻衣?」
 声をかけ、浴室へのドアを開けた。呼ぶ声は水音に消されたのか、麻衣は気付かない。そのままシャワーを止め、浴槽を磨き始める。何が楽しいのか鼻歌付きで。
「麻衣」
 再度呼びかけるも、浴槽を磨く事に集中しているのか麻衣は気付かない。
 浴槽の奥を磨いているのか、突き出された臀部が鼻歌に合わせて揺れる。ミニスカートが動きに合わせて捲れ、レースに縁取られた下着が露わになった。
 無意識に喉が鳴る。
 最近は調査や論文が立て続けに入って、碌に麻衣に触れていなかった事を思い出した。
「うっしゃ、後は濯いで・・・・・ひゃあっ!!」
 考えるより先に体が動いていた。
 丸みを帯びた臀部に口付ける。
「な・・・なる!?っん・・・・・」
 下着の上から臀部の丸みに沿って舌を這わせていく。濡れた感触に麻衣の身体がピクリと震えた。
 そのまま太腿まで這い降り、柔らかな肌に強く吸いつく。鮮やかに咲き誇る紅い華に満足げに笑みを浮かべた。
「は・・・んぅ・・・・や・・・・だ。こんな・・・トコで・・・・」
「本当に嫌なのか?」


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 麻衣の想い人は今更誰かと問わずともわかる。
 今はもうこの世にはいない、双子の片割れ。
 もはやこの世にいない男から、どう奪えばいいというのだろう。

 そして彼女は彼と、夢の中で逢瀬を重ねる。
 決してナルが立ち入ることの出来ない、夢の中で。

 とっくの昔に奪われていたのに。
 そんなことにすら気づかなかった。
 あの夏の日、麻衣がナルの前で彼のことを語ったときに、いや…そうではない。
 多分、夢で麻衣とジーンが初めて出会ったその瞬間から、彼女はもうジーンのものだったのだ。 

 その時の衝動を言葉でどう表現すればいいのかわからない。
 ただ気づけば、麻衣の体を広い所長室のデスクの上に押し倒していた。
 パシャンとカップが割れる音と紅茶が弾ける音が響き、そして麻衣の下でクシャリと数枚の紙が悲鳴を上げる。
 麻衣は自分の身に何が起きたのか理解できていないのだろう。不思議そうにナルを見る。疑うことを知らない綺麗な鳶色の瞳で。

 そんなものはいらない。
 全幅の信頼を寄せられたところで、もはやナルに応える術はない。
 ほしいものはそんなものではないのだ。

 薄赤くほころぶ唇に誘われるように、ナルが自分のそれを重ねる。
 ナルの腕の中で華奢な体がピクリと震え、そした歯列を割り舌を差し入れると激しく跳ねた。
「ふ……っ!?」
 この時ようやく自分の身に何が起こっているのかを理解したのだろう。
 頭を激しく振り抵抗を始める。
 一度彼女の望みのままに唇を解放してやれば、ハァとこぼれる吐息がナルを包んだ。
「……な、なる、何?なんでこんなこと……」
 困惑し、異常な事態だとわかってはいるが、未だこの行為がどういう意味を含んでいるのかわかってはいないのか、瞳の中に嫌悪や拒絶の色は見えない。
「…抵抗しても無駄だ」
「え…っ」
「優しくしてほしければ、これ以上動くな」
 とどめと言わんばかりにそうきっぱりと告げると、初めてこの時麻衣の表情が恐怖に歪んだ。
 何かが壊れていく音を聞きながら、ナルは麻衣のシャツに手をかける。
 抵抗をしようとした麻衣のギッと睨みつけると、麻衣の瞳からボロボロと涙がこぼれだした。
 躊躇わずに麻衣の着ているシャツを脱がせる。
 しかしすべては脱がさず腕だけを残し、中途半端に腕に絡みつくシャツを背中で纏めて縛ると、腕も自然と後ろに回り拘束することが出来た。
 麻衣の頬をペロっと舐めると頬を濡らした涙の味がし、ナルは薄く笑った。
 この一時が終わればもう二度と麻衣はナルの前に姿を現すことはない。
 これが最後だ。
 だが、それでもいいと思ったのだ。
 たとえこの一瞬だけだとしても、麻衣の中に永遠に消えることのないナルの存在を刻み込むことが出来るのであれば。
 かつてサイコメトリで見たものと同じことを今自分もしているということに吐き気と嫌悪がせり上がってくる。
 それなのに、この行為を止めようとは全く思えなかった。


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「安心しろ、この玄関は防音だ。それに、誰かが訪ねてきても、居留守でも使うか、取り込み中だと言えばいい」
「やあっ」
 麻衣がぐるぐると思考を巡らせている間に、ナルは行為を再開させた。麻衣の首筋に顔をうずめ、いくつもの紅い花を咲かせていく。
「———というか、だめ!」
「・・・・今度はなんだ・・・・」
 またもや静止をかけた麻衣に、ナルは今度こそあからさまに嫌な顔をした。だが、麻衣にも止める理由はあるのだ。
「ナル、寝不足でしょ?疲れてるでしょ?だから、休まなきゃ。何のために事務所から早退したと・・・・」
「なら、これは妥当だろう」
「は?」
 意味がわからずに、麻衣は胡乱げな声を上げた。
「このままでは、眠れそうにない」
「あ・・・」
 ナルと触れ合っているところから伝わる熱が、麻衣にその理由を伝えてきた。
「わかるだろう?」
 そう聞かれて、麻衣は真っ赤な顔でかすかに頷くしかできなかった。
「僕に寝てほしいというなら、協力しろ」
「協力って・・・・」
 まあ確かに協力には違いないのだが。というかナルがこんなことを口に出して言うなんて、やっぱり寝不足でおかしくなっている。普段の彼ならば、こんなことは言わない。
 麻衣がナルの顔を見上げると、彼はとても意地悪そうに笑っていた。
「で、でも・・・」
「麻衣」
 そんな声で名前を呼ばないで欲しい。
「・・・・・うん」
 はっきり声に出すのは恥ずかしいので、麻衣は小さな声で返事をした。
「でも玄関は、だめ・・・せめてベッドに・・・」
「待てない」
 そんな。
「今すぐ、お前が欲しい」
 彼のバリトンの声で、麻衣は腰を抜かした。ナルは麻衣を支えながら、そのまま玄関に座り込んで壁に押しつけた。麻衣から逃げ場を完全に奪う。
「麻衣」
 もう一度彼は、待てない、と麻衣に囁いた。欲情で揺れる瞳が、麻衣の躰を射抜く。
「・・・・ずるい・・・・」
 本能で動く獣のような彼に、普段にはない色気を感じた。逃げられないと頭のどこかでわかっていた。
「ん」
 麻衣は返事の代わりに、彼の首にゆっくりと腕を回して抱きついた。その瞬間、一気に彼の気配が豹変した。
 完全に理性のタガが外れ、暴走した獣が現れた。


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